「申し訳ございません。もうすこしはやく情報をつかんでいれば……。情報(それ)を入手したときにはすでに遅く……」

 ロランが口惜しそうにつぶやいた。

 彼も王子の一人。当然、敵がどうにかしたいと思っている一人である。 その彼が無事でよかった。無事に王都から戻ってきてくれてよかった。

「内通者がいるな」
「ええ、兄上。諜報員の一人は、バロワン王国の者です。その者が手引きし、反王族派の貴族や民衆を使嗾いたしました」
「なんてことだ」