誰にも言えなかった辛さや寂しさ、苦しさ、怖さ……。
 たくさんの感情があふれ出してきて止まらない。

 顔を覆っている私の頭に誰かの手が触れた。
 そっと手を外して視界を広げると、すぐ横で私の頭に手を伸ばしている彼の姿が映る。

「ユリウス様……」

 その少し後で反対側から私の頬に軽く手を当てられる。

「レオ、様……」

 二人はそっと私に微笑みかけた──


 コーデリア国はその後、他国への侵攻を中止した。
 侵攻を主導していた国王はまもなく退位することとなり、協力していた王妃も共に隠居することとなったそう。
 戦争に反対していた国民は最初こそ国王と王妃を非難したが、誠意ある謝罪と国民への補償、そして今後の平和を約束するしたことにより、段々国民の心も動き始めた。
 そうして、次期国王にはレオがなることが内定した──


 私の体力が戻った頃、私はレオの妹であるエルミア様の呪いを解くために第一王宮へと来ていた。

「すごい……」
「第二王宮と違って正式なほうだからな。国賓もこちらでもてなすし」
「そりゃそうですよね。それにしても……」