思わず耳を疑ってフリーズしていると、くしゃっとお固いポーカーフェイスが崩れて腹を抱えて笑い出した。
「冗談はさて置き、ヤクザもこの肩身の狭い世の中で、ただシノギだけで運営は出来ないんだな。だから会社の経営もしてるんだけど、意味分かる?俺一応社長だから。」
「ごめん、情報量が多すぎて処理しきれない。」
「だろうな....で、俺がここに来た理由は、お前が危ないって話をしに来た。」
うん。今わたしヤクザを目の前にする一般人だよ。後ろの強面の所為で足元ガクガク震え上がっちゃってるんですよ。
お前さえ来なきゃ、危険な想いをせずに済むんだけどな....。
てか、社長って....詐欺会社か何かを経営しているのでは?
「俺の存在を良く思ってない他の組の連中が、杏を攫うかもしれねー。」
「....。?」
「だから、四六時中俺の側に居ろ。」
「ごめん、よく聞こえない。」
「だから、お前は会社辞めて俺と半永久的に過ごせばいいんだよ。」
何を言い出すかと思えば、
「ふざけるな!!私を巻き込みやがって、糞野郎が。」
沸々と湧き上がる怒りに身を任せ、思い切り奴の顔面を打ん殴ろうと腕を構えて振り落せば、それは難無く受け止められてしまい、そのまま詠斗の上に倒れ込んだ。



