自分の親がヤクザだっから、必然的に兄弟揃って、その道に進む事になった。








 生まれてからずっと過ごして来た家は、趣のある日本家屋なくせして、無駄に高いコンクリートの塀に囲まれている。


 その存在理由を理解したのは、自分の家が他の家とは違うと気付いた時だった。




「詠斗坊ちゃん、頭(カシラ)が大事な話があるそうです。」




 俺には出来の悪い双子の兄が居る。一卵性双生児と言えど、性格が全く一緒とは限らない。




「忙しいのに悪いな。」



 親父が組の六代目の長になったのは、俺が中坊の時だったか....


 元々若々しい見た目だが、俺が大人になる頃には、激務と言うかプレッシャーとかでだいぶ老け込んだと思う。



 因みにだが俺の母親は、消息不明。

 組に所属しながらも俺たち双子を育ててくれた親父には感謝しかない。



「いや、構わないさ。で、どうした?」



 俺は二足の草鞋を履いている。


 大学で経営学を学び、投資をして集めた資金で企業した。


 俺は次男だったから、組を継ぐのは兄の七海の方と決まっていた。



 自分一人でも生き抜いていけるように、地盤を創ったのだ。







「ーーーーお前に組を継がせようと思っててな。」





 七海がやらかした代償ってやつは、予期せぬタイミングで俺に降りかかる。