山田組の屋敷で暮し始めて、数年の月日が経過致しました。


 結婚式を終えたのが、つい最近の事の様で、日々はゆったりと平和に過ぎていく。


 ヤクザの姐さんになったと言うのに、旦那が私を甘やかすものだから、威厳も糞も無い。



「姐さんお代わりしときます?」


「うん。今日のご飯も最高に美味しいよ。」


 天竜さんの手料理にどハマりして、食欲の秋の所為なのか、食べる量はいつもの二倍以上だ。


 食べ過ぎて、ズボンのファスナーがしまらなくなってきたのは、詠斗には内緒。


 体重計に最後に乗ったっていつだったっけ?デブまっしぐらだ。幸せ太り?いいや、幸せなんだけど、ちょっとしたことで苛々して、ストレスの捌け口と言えば、食事に走ってしまうのだ。



「それは嬉しい限りですわ。作り甲斐があるってもんです。」


 天竜さんも私を甘やかす。いっぱい食べる人が好きなのだと思うんだ。


 組員さんとも仲良くなって、顔もガタイも怖いと思っていたが、過ごしていく内に、実は根は良い人ばかりで、第一印象の悪さは払拭されている。