綺麗な仲居さんが、詠斗に色目を使ってても、彼はガン無視する。


 愛想が無いというか....完全に私だけに向けられる柔らかい笑顔。



「杏、こっち来い。」


「無理。今黄昏中だから。」



 縁側で景色を堪能している私を、呼びつける詠斗は、布団に横になっている。


 四六時中布団を敷きっぱなしにしているのは、間違いなく私を常に抱けるようにする為の彼の策略だ。



 昨晩は、殆ど寝かせてもらえなかった。もう激しくて腰が砕けてしまうくらいに愛し合って....




「抱きたいんですけど~。」


 駄々っ子をこねる旦那様が、背後から忍び寄り、私の着ている浴衣に手を入れて胸に触れる。


 
「昨日散々やったよね。昼間くらいゆっくりさせてよ。」


「無理、杏の色っぽい浴衣姿に欲情して、もう勃ってるから。」


「ほんと、やる事しか考えてないのね。(この変態野郎が!!)」


「仕方ねーだろ、お前が綺麗過ぎるから、俺のもの。って再確認したいのっ。」


「はいはい、私は詠斗のものですよ。だから今は無し。」


「言葉だけで俺が納得するとでも?」




―――――――勢いよく身体浮いたと思えば、お姫様抱っこで布団へと連れ去られ、私を羽交い絞めにして逃げられない様に、そして何も言わせない様に、口を塞ぐ彼。





「俺は、お前しか抱かねーんだから、覚悟しろよ。」



 昼間っから始まったエッチは、夕方まで続いた。


 付けられたキスマークは、浴衣で隠せない位置に痕を残した。



 夕食時に、私を膝の上に乗せながら、餌付けする彼は、仲居さんの目なんか気にも留めず、私に甘く囁くのだ。





「食べ終えたら風呂で、もう一回やるぞ。」


「――――っバカ!!」