弟と俺は、二卵性双生児ってやつで、まあなんとなーく似てる程度だ。

 地毛の黒髪一筋の詠斗とは裏腹に、俺は髪を脱色しまくって、真っ白にしていた。


 何故かって?



「その白髪が視界に入るだけで、苛々してくるんですけど!」


「ちょっ⁉︎杏ちゃん酷すぎる。」



 俺の弟には、最愛のオンナが居る。


 名を伊丹 杏。とってもお口が悪い女性だが、イケメンな弟の隣に並んだって引けを取らない程の超絶ナイスバディ美女である。

 だが、本人はいつも顰めっ面を浮かべており、俺に笑いかけてくれる事は皆無だ。


「七海さんが来ると、詠斗が不機嫌になるから面倒くさいんですよ。」

「もう、ハチを振って俺と付き合おうよ。」

「ごめんなさい、それだけは死んでも勘弁です。」


....とまあ、俺に対する対応は、塩である。


 
 だけど、なんやかんやで杏ちゃんは、俺のボケの一言を掬い上げてくれる超絶良い子な訳で....



 嫌と言われても、俺はめげない訳ですよ。



 弟とは違う人間、それが兄である俺だ。


 全く正反対の性格に、彼女は毎度の事ながら板挟みに合い困った様に顔を顰める。


 そんな君も可愛いのさ。