例えばだが、もしも俺の方がハチより優れていたら、人生違ってたのかもしれない。


 まあ、そんな事を考えている時点で、今までの素行に後悔していると認めているようなものだ。




「なあ、天竜。」

「はい、どうしました?」

「俺って馬鹿だよな。」

「はい。そうですね。」

「こら、そこは嘘でも違うって言えよ!」



 



 俺の名前は、織田 七海。率直に言えば、俺の親父はマジなヤベー奴。ヤクザの頭だ。


 指定暴力団山田組の六代目組長である。


 そして俺は、そんな親父の愚息。

 そして俺には、双子の弟が居る。



「ナナてめぇ、いつまで居座る気だ。」

「ちょっ、ハチ怖いって〜。その今にも人を殺めそうな目を向けるなよ。」

「てめぇが、俺のオンナに構わなきゃ止めてやるよ。」



 俺には出来の良い弟がいる。それが、現山田組若頭の織田 詠斗である。