大人数のカラオケでは、定番のゲームではあるけども。
私にとっては、あまり良い思い出のないゲームだ。
正直、そんなに気は進まなかった。
しかし。
「おっ、良いねぇ。楽しそう」
「このメンバーでやるの、久し振りだよね」
「今度は負けないから」
湯野っち以外のメンバーは、皆乗り気だった。
そうだね。
前はよく、そんなこともしたわよね。
まぁ、いっか…。
今回は別に、罰ゲームがある訳じゃないし…。
「ちなみに、勝ったら何か賞品は?」
「そうだなー…。じゃあ勝った人は、今日のお会計、免除で」
「おぉー、良いねぇ」
賞品あるんだ。
お会計免除…ってことは、今日の支払いは、勝者を除くメンバーで割り勘ってことになるのか。
勝った人は奢ってもらえるって訳ね。それは良い特典だわ。
是非一番になりたい。
どうだろう。以前の戦績を考えると、勝てるかどうかは微妙なところ。
皆、それぞれの十八番で挑んでくるだろうし…。
最下位になることはなくても、一番になるのも厳しいかも。
すると。
「じゃあ、負けた人は?何か罰ゲームあるの?」
と、一人が聞いた。
え。罰ゲームやるの?
良いじゃない、罰ゲームなんてやらなくて…。
勝った人には商品がある。それだけで良い。
…ましてや。
「そうだなー…。じゃあ…あ、そうだ。負けた人は、幽霊君の緋村(ひむら)に告白する、っていうのはどう?」
湯野っちは、悪戯っぽく笑いながらそう提案した。
…私は、思わず耳を疑った。
人を、傷つける罰ゲームなんて。
絶対、やっちゃいけないことなのに。
「うげっ。絶対無理!」
「あの幽霊君にコクるとか、そんな酷い罰ゲームある?」
「絶対負けられない戦いが始まっちゃったよ」
皆乗り気で笑うばかりで、誰も止めようとしない。
幽霊君というのは、久露花さんと一緒にいた車椅子の男子生徒…緋村奏君のことだ。
彼は事故で両足を失っている上に、彼自身の存在感も薄いからという理由で、いつの間にか幽霊君などというあだ名をつけられている。
本人が望んでいるあだ名ではないのは、誰が聞いても明白だ。
「幽霊君にコクったら、電波ちゃんはどんな反応するかな?」
「めっちゃ面白い反応しそうだよね」
「あの二人、キモいくらいべったりだもんね〜」
…どうして、そんな言い方するんだろう。
ただ仲が良いだけじゃん。
「ってか、コクられても付き合わないんじゃない?幽霊君は」
「まぁ、そうだろうね。幽霊君だって、さすがに身の程くらいは弁えてるでしょ」
「そもそも付き合うって言われたら、キモ過ぎて吐くわ。絶対断ってくれないと困る」
湯野っちはそう言って、皆もケラケラと声をたてて笑った。
そう思うなら、何でそんな罰ゲームに賛成するの。
私の脳裏に、過去の自分の姿が蘇った。
私にとっては、あまり良い思い出のないゲームだ。
正直、そんなに気は進まなかった。
しかし。
「おっ、良いねぇ。楽しそう」
「このメンバーでやるの、久し振りだよね」
「今度は負けないから」
湯野っち以外のメンバーは、皆乗り気だった。
そうだね。
前はよく、そんなこともしたわよね。
まぁ、いっか…。
今回は別に、罰ゲームがある訳じゃないし…。
「ちなみに、勝ったら何か賞品は?」
「そうだなー…。じゃあ勝った人は、今日のお会計、免除で」
「おぉー、良いねぇ」
賞品あるんだ。
お会計免除…ってことは、今日の支払いは、勝者を除くメンバーで割り勘ってことになるのか。
勝った人は奢ってもらえるって訳ね。それは良い特典だわ。
是非一番になりたい。
どうだろう。以前の戦績を考えると、勝てるかどうかは微妙なところ。
皆、それぞれの十八番で挑んでくるだろうし…。
最下位になることはなくても、一番になるのも厳しいかも。
すると。
「じゃあ、負けた人は?何か罰ゲームあるの?」
と、一人が聞いた。
え。罰ゲームやるの?
良いじゃない、罰ゲームなんてやらなくて…。
勝った人には商品がある。それだけで良い。
…ましてや。
「そうだなー…。じゃあ…あ、そうだ。負けた人は、幽霊君の緋村(ひむら)に告白する、っていうのはどう?」
湯野っちは、悪戯っぽく笑いながらそう提案した。
…私は、思わず耳を疑った。
人を、傷つける罰ゲームなんて。
絶対、やっちゃいけないことなのに。
「うげっ。絶対無理!」
「あの幽霊君にコクるとか、そんな酷い罰ゲームある?」
「絶対負けられない戦いが始まっちゃったよ」
皆乗り気で笑うばかりで、誰も止めようとしない。
幽霊君というのは、久露花さんと一緒にいた車椅子の男子生徒…緋村奏君のことだ。
彼は事故で両足を失っている上に、彼自身の存在感も薄いからという理由で、いつの間にか幽霊君などというあだ名をつけられている。
本人が望んでいるあだ名ではないのは、誰が聞いても明白だ。
「幽霊君にコクったら、電波ちゃんはどんな反応するかな?」
「めっちゃ面白い反応しそうだよね」
「あの二人、キモいくらいべったりだもんね〜」
…どうして、そんな言い方するんだろう。
ただ仲が良いだけじゃん。
「ってか、コクられても付き合わないんじゃない?幽霊君は」
「まぁ、そうだろうね。幽霊君だって、さすがに身の程くらいは弁えてるでしょ」
「そもそも付き合うって言われたら、キモ過ぎて吐くわ。絶対断ってくれないと困る」
湯野っちはそう言って、皆もケラケラと声をたてて笑った。
そう思うなら、何でそんな罰ゲームに賛成するの。
私の脳裏に、過去の自分の姿が蘇った。


