…しばらく、一緒に遊んでいたら。

ちょっとずつ、空が暗くなり始めてきた。

「夕飯の支度しないといけないので、そろそろ帰ります」

「あ、そっか」

もうそんな時間かぁ。

なんか早かったな。

最初の勉強会の二時間が、余計だった。

…。

「…ねぇ、帰り際にこんなこと言うのも、おかしいかもしれないけど」

「はい?」

「今日、うち誰もいないのに…。結月君、変なこと何も考えないんだね」

理性を保って生きてるよね。

「…変なこと…?」

って言うか、鈍感なだけ?

「変なことって言ったら…変なことよ」

「あ、そう…。変なことですか…」

「…」

「…」

しばし、二人の間に流れる沈黙。

…私の方こそ、変なこと言わなきゃ良かった。

顔真っ赤よ。お互いにね。

「…えぇっと…」

沈黙を破ったのは、結月君の方だった。

珍しく、視線がぐるぐる彷徨っている。

「そういう…スキンシップ的なことは…恥ずかしいんで、来年度で良いですか…?」

あ、一応その気はあるのね。

前に進む気はあるんだ。

今のところ私達、ほら…付き合ってから、手も繋いだことないから…。

家デートまでしてるのにね。不思議。

「じゃあ、結月君…。二年生になったら…手を繋ぐところから始めましょうか」

「…努力します」

…うん、宜しく。

お勉強して、成績を上げるのも良いけど。

そっちの、うん。恋人の、親密度的な側面もね。

頑張って上げていきましょうよ。折角だからね。

楽しみにしてるわ。