―――――――…いつの間にか、夜が明けて朝が来ていた。

私は、昨日外出したときの格好のままベッドに横たわっていた。

一晩、ひとしきり泣きに泣いて。

身体の中にあった涙を、全部出し尽くしてしまったかのように。

今では涙も枯れてしまった。

心が麻痺したように固まって、何も感じなかった。

数時間前から、私のスマートフォンがチカチカと光っている。

放心状態のまま、私はスマホに手を伸ばした。

結月君からの連絡だったらどうしよう、と一瞬震えたけれど。

スマホに届いていたのは、EINLの通知だった。

結月君はEINLはやってない。だから結月君じゃない。

…そうだよね。

彼の方から連絡してくることは、もうない。

そんなこと分かりきってるだろう。

それどころか、もう私のメールアドレスなんてとっくに削除して。

ついでに、着信拒否しているんじゃないだろうか。

当たり前だ。

こんな最低な女と交わす言葉なんて、もう彼にはない。

そう思うと、枯れてしまったはずの涙が再び溢れそうになった。

泣いてばっかりの私は、結月君の言う通り卑怯者だ…。

指を動かして、スマホをタップし。

通知の届いていたEINLを開く。

真菜と、隆盛からのメッセージが届いていた。

真菜からも、隆盛からも、異口同音で同じ内容が書かれていた。

『どう?ちゃんと別れられた?』と。

そのメッセージを見て、やっぱり涙が溢れた。

…うん、別れられたよ。

でも、私と結月君が昨日、あんなやり取りをして別れたなんて。

二人共きっと信じられないだろうね。

隆盛は私に告白してきた。結月君と別れたら、自分と付き合って欲しいと。

今となっては、もう何も感じなかった。

心が麻痺して、何も感じられないのだ。

…馬鹿みたいだ。

結局、結月君の言う通り。

私に釣り合うのは、私と同じく、下らない罰ゲームを実行した馬鹿な友達だけ。

つまり、正樹や隆盛のことだ。真菜や海咲のことだ。

彼らだけが、私に相応しい。

同程度で、同じレベルで、他人の痛みを感じられない犬畜生同士。

…私に相応しい人達。

そういうことなんだね。

スマートフォンを握り締めたまま、二人のメッセージに何も返事を出来ずにいると。

再び、スマホにメッセージが届いた。