【一条王子】が発見したのは、雑木林に埋もれた雑草の花だった。

  

 花と言えど、売り物にはなり得ない粗悪品。欲しいモノが偶々ゴミ箱にあったから回収した。



 だけど長年待ち望み、王子が欲しかった特別なモノ。


 

「一条さんの奥さんってどんな女性なんですか?」

「駄目だよ。奥さんの良いところ教えたら、お前だって惚れちゃうに決まってる。」

「(でも、噂だと....。)」



 花形職受付嬢は語る。


 何故、あんな女が一条さんと結婚出来るの?


 いやいや、なんであんな女を選んだ?


 一条氏を責め立てる訳じゃないのだが、どうも騙されている感が否めない。


 政略結婚?将又、弱みでも握られてしまっているのか....。可哀想に一条氏。


 でも、そんなんじゃ無い。もしも不本意で結婚したならば、態々....あんな熱い抱擁を見せつけてくる筈がないっ‼︎



 一条さんはよく笑う。けれどそれは社交辞令だ。


 誰も一条さんを落とせなかったんだから....。



 会社内でも一二を争うパーフェクト美女でさえも、一条王子に見初めてもらう事は叶わない。


 
「どうしよう....今日の夕飯ハンバーグだって。俺の大好物....。」



(一条さんがハンバーグ⁉︎)


「しかも、とろけるチーズ付き!」


(一条氏....もしや、お子様舌だったのか⁉︎)



 今まで魅せる事が無かった本当の彼の素顔。


 チーズハンバーグにガッツポーズしてる一条王子の隠し撮りは、女子社員達の中で瞬く間に拡散された。




(....可愛い過ぎかよ、一条さんっ‼︎)