冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする



あれから私は、三上先輩との約束を果たすべくカジュアルなイタリアンレストランへと来ていた。
男女が四対四で席につき、自己紹介やら軽くゲームをやって今はフリータイム中。
お手洗いにと男性との会話を中断させた私は、中央の椅子に腰かける三上先輩に耳打ちする。

「先輩、すいませんっ……本当にそろそろ帰らせてもらいます」
「ええ、まだ来たばっかりじゃないの」
「もう二時間も経ってますって!」

男性陣はマネージメント業務を中心としたコンサルというだけあって、爽やかなイケメン揃いでコミュ力がめちゃくちゃ高い。
私たちCAも喋りが苦手というわけではないが、かなり押され気味だ。もちろん私も。

「すみません、少し急用ができちゃって。お先に失礼しますっ!」

三上先輩から帰宅の許可を得た私は、お手洗いに戻って来たふりをし、自分の席に戻ってすぐに身支度を済ませる。

「えー、安奈ちゃん連絡先だけでも交換しようよ」

「本当にごめんなさいっ! 急いでますので!」

向かい側に座っていた男性は椅子から立ち上がって追いかけようとするけれど、私は両手を顔の前で合わせ足早にその場から立ち去る。

(どんなふうに振舞ったらいいか分からず終わった二時間だった)

不意打ちを狙って接触しようとしてきたり、事あるごとに褒めてきたりと居心地が悪かった。
私はやっぱり恋愛には慣れないとつくづく思う。

(早く家に帰りたいよ)