「おっ、おはようございます。五十嵐さん!」
「おはよう」
緊張が走り声が上擦る。
同じ航空会社に勤務する五十嵐駆さん、仕事ができるパイロット――が、足を止めたので、私も自然と直立不動になった。
(本当に背が高いな)
彼は身長百八十五センチもあって迫力と威圧感満載。
今は私服のシンプルなシャツとスラックス姿だから、筋肉質が露になってしまっている。
ニ十センチ上にある小さな顔は、彫りが深くて鼻が高くて、眉毛も釣り上がっていてそれが猛々しくて、オス感がすごい。
涼しげな目元と薄い唇が色っぽいから、ついつい目がいってしまう。
――と、外見のすばらしさは認めているけれど、私は彼が苦手だ。大の苦手だ。
「今日はどちらのフライトです……か……」
言い終わる前に、彼は冷たい視線の余韻を残し去っていく。
「はぁ……ほんと、なんで何も言ってくれないの」
彼の幅広な背中を睨みつけ、むっと頬を膨らます。
新人の頃からフライトで被ることが多く、かれこれ丸四年の付き合いになるのだけれど、いつもこんな調子。
何でもできちゃう五十嵐さんからしたら、そりゃ私のドジっぷりとか平凡具合に苛つくのは分かるけれど、『社会人として』明らかな冷たい態度を改めて頂きたい。
彼ばかりに気を取られるのは不本意なので、記憶から今の出来事を大急ぎで追い払う。
「ここをこーやって、ちょっと上げるだけでいいのにな」
「おはよう」
緊張が走り声が上擦る。
同じ航空会社に勤務する五十嵐駆さん、仕事ができるパイロット――が、足を止めたので、私も自然と直立不動になった。
(本当に背が高いな)
彼は身長百八十五センチもあって迫力と威圧感満載。
今は私服のシンプルなシャツとスラックス姿だから、筋肉質が露になってしまっている。
ニ十センチ上にある小さな顔は、彫りが深くて鼻が高くて、眉毛も釣り上がっていてそれが猛々しくて、オス感がすごい。
涼しげな目元と薄い唇が色っぽいから、ついつい目がいってしまう。
――と、外見のすばらしさは認めているけれど、私は彼が苦手だ。大の苦手だ。
「今日はどちらのフライトです……か……」
言い終わる前に、彼は冷たい視線の余韻を残し去っていく。
「はぁ……ほんと、なんで何も言ってくれないの」
彼の幅広な背中を睨みつけ、むっと頬を膨らます。
新人の頃からフライトで被ることが多く、かれこれ丸四年の付き合いになるのだけれど、いつもこんな調子。
何でもできちゃう五十嵐さんからしたら、そりゃ私のドジっぷりとか平凡具合に苛つくのは分かるけれど、『社会人として』明らかな冷たい態度を改めて頂きたい。
彼ばかりに気を取られるのは不本意なので、記憶から今の出来事を大急ぎで追い払う。
「ここをこーやって、ちょっと上げるだけでいいのにな」

