冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

「は?」

間の抜けた声に、足を床に着けたまま顔を上げる。
彼は目を丸くして私を凝視していた。

「お金はそんなに持っていないですけど、どうにかお詫びはしたいと思っています。それでどれくらいの価値があるのか把握しておきたくて」

五十嵐さんは何かを言いかけ、すぐに口を結ぶ。言葉を飲み込んだような仕草だ。
そんな彼を不思議に思いながら見つめていると、ふいに鋭い眼差しを向けられた。

「あの時計、地方の戸建てが建つ額だが大丈夫か?」

「っ!?」

(さっ……さすがに、それは無理)

自分が言い出しっぺのくせに震えあがっていると、五十嵐さんは一歩私に歩み寄った。

「それはさておき、君がそこまで言ってくれるのであれば、ひとつ頼みがある。時計のことはチャラでいいんだ」

「た、頼み……って?」

五十嵐さんはいつになく厳しい表情で目を伏せる。
ぶつぶつと聞こえない声でなにやら囁いた後、しっかりと私を見据え口を開いた。

「俺と結婚してほしいんだ。村瀬」