冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

あれから三時間後――サンフランシスコ空港からステイ先のホテルに到着した。
私は現地名物のギラデリチョコレートを手に、伊織さんから聞いた五十嵐さんが宿泊する707号室の呼び鈴を鳴らす。
部屋の前にしばらく立っていると、突然扉が開かれた。

「村瀬、なんでこんなところに」

五十嵐さんはお風呂上がりだったのか、髪はびしょびしょに濡れバスローブをざっくりと羽織った姿だった。
胸もとまで露になり、一応スエットは履いているようだが目のやり場に困る。
彼の迷惑そうな表情を一瞬見た後、すぐに下を向いた。

「す、すみませんいきなり……! 先程の件でお話をさせて頂きたくて来ました」

私が無理矢理手土産のチョコの箱を突き付けると、彼は遠慮がちに受け取ってくれる。

「だから気にしなくていいって言っただろ」
「でも、そういうわけにはいきません。あんな高価なもの……、大切にされていたんじゃないですか?」
「…………」

私が一向にその場から動かないため、五十嵐さんは観念したのか渋々ながら部屋へと案内してくれた。
彼の部屋は豪奢なデラックスルームだ。
テレビの前に設置されていた大きな革ソファに促されたけれど、私はその場で土下座した。

「お、おい。何をやって」
「さっきはご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。それで、先ほどの時計はどれくらいの金額なんでしょうか?」