悪夢のような数十分が過ぎてゆき、予定時刻より十分ほど早くサンフランシスコ空港に到着する。
再度私と菅原チーフとで男性に謝罪を行い、羽田にある本社と連絡を取って、今後の対応を取り決めることになった。
全ての乗客が機内から出たのを確認し、ビジネスクラス後方へと戻る。
内心恐縮しきっていた私だけれど、弱い姿を見せればよけいに無理難題を突き付けられる可能性があるため、姿勢だけは正す。そんな私を見て、座席にふんぞり返っている男性は、わざとらしくふんっと鼻を鳴らした。
「おねぇさん、倍にして返してくれんだよな。あの時計はプレミアがついていたんだ」
「大変申し訳ありません」
頭を下げ、怒りを収めるしか成す術がない。
「お客様のお気持ちは十分に理解しております。ですが今後の対応は会社を通して進めさせて頂きますので、一旦は……」
「俺ばっかりなんで我慢しなくちゃならんのだ! おい、ここの責任者を今すぐ呼んでこい!」
菅原チーフも一緒になって謝罪にあたってくれていることも、申し訳なさすぎて胸が痛い。
込み上げてきた涙を必死で耐えていると、ふいに隣から人の気配を感じた。
「……お客様、この度はご搭乗ありがとうございました。今便、責任者の五十嵐です」

