その場にいたクルー全員の視線が一斉に私に向けられる。
「いえ、とんでもございません。今すぐお持ちします」
『機内食をコックピットに持っていく』――。
クルーにとって、パイロットのお腹を満たすのと同時に、お近づきになれる重要なチャンス……。
特に今回のパイロットは人気のふたりとあって、いつになくみんなが気合をいれていたのを知っていたから気まずいったらない。
(めちゃくちゃ注目浴びちゃってるし。自ら手を上げたわけじゃないんだからね)
機内食を手に、作り笑顔で通路を突っ切る。
たしかに伊織さんに会えることは嬉しいけれど、同時にこの世で最も苦手とする男性と顔を合わせなくてはならないのだ。
心境的には手放しに喜べない。
「失礼します。朝食をお持ちしました」
コックピットに繋がるドアを開けると、操縦席の左側に座る五十嵐さんと目が合う。
少し驚いたような顔を見た途端、緊張でごくっと大きく息を呑み込んだ。
「あ、村瀬さんだ。今日はよろしく、忙しいところありがとね」
気さくに挨拶をしながら伊織さんが私のところへ駆け寄ってきてくれる。すぐに柔らかい空気に包まれて、肩の力が抜けてきた。
「熱いのでお気をつけください」
伊織さんに食事を渡しながら、頬の熱が上がっていくのを感じる。
今だけ蕩けるような甘い眼差しを独り占めさせて頂こう。しばらくはこの時を思い出しながら、白いご飯を楽しみたい。
そんなことを企みつつ軽く伊織さんと談笑していると、五十嵐さんが厳しい表情で私たちを睨みつけてきた。
「伊織、早く食事を渡してくれないか。それから村瀬……こんなところで油を売ってる暇はないだろう。持ち場に戻って有紗の指示に従ってくれ」
「いえ、とんでもございません。今すぐお持ちします」
『機内食をコックピットに持っていく』――。
クルーにとって、パイロットのお腹を満たすのと同時に、お近づきになれる重要なチャンス……。
特に今回のパイロットは人気のふたりとあって、いつになくみんなが気合をいれていたのを知っていたから気まずいったらない。
(めちゃくちゃ注目浴びちゃってるし。自ら手を上げたわけじゃないんだからね)
機内食を手に、作り笑顔で通路を突っ切る。
たしかに伊織さんに会えることは嬉しいけれど、同時にこの世で最も苦手とする男性と顔を合わせなくてはならないのだ。
心境的には手放しに喜べない。
「失礼します。朝食をお持ちしました」
コックピットに繋がるドアを開けると、操縦席の左側に座る五十嵐さんと目が合う。
少し驚いたような顔を見た途端、緊張でごくっと大きく息を呑み込んだ。
「あ、村瀬さんだ。今日はよろしく、忙しいところありがとね」
気さくに挨拶をしながら伊織さんが私のところへ駆け寄ってきてくれる。すぐに柔らかい空気に包まれて、肩の力が抜けてきた。
「熱いのでお気をつけください」
伊織さんに食事を渡しながら、頬の熱が上がっていくのを感じる。
今だけ蕩けるような甘い眼差しを独り占めさせて頂こう。しばらくはこの時を思い出しながら、白いご飯を楽しみたい。
そんなことを企みつつ軽く伊織さんと談笑していると、五十嵐さんが厳しい表情で私たちを睨みつけてきた。
「伊織、早く食事を渡してくれないか。それから村瀬……こんなところで油を売ってる暇はないだろう。持ち場に戻って有紗の指示に従ってくれ」

