ドリンクサービスが一番最後になってしまったビジネスマン風の小太りの男性は、不機嫌そうな顔で私を見上げる。
「お客様、お待たせして申し訳ありませんでした。お飲み物はいかがなさいますか」
「ワイン」
男性はぶっきらぼうにそう言って、私を手で追い払う仕草をする。
こういった横柄な態度を取られることは珍しくない。時には小間使いのごとく使ってくる方もいるくらいだ。
(お客様は困難な状況や心境で飛行機に乗っているかもしれない。笑顔笑顔)
男性から一歩下がって口角を上げる。
平常心を心がけお客様の様子を確認しながら再びギャレーへと戻った。
「菅原チーフ、Cクラスの十七列目窓側の男性ですが、酒豪です。要注意です」
「分かったわ、ありがとう」
私が伝えると、菅原チーフはきりりと眉尻を上げ、手に持っていたメモに書き加えていく。
こういった小さな気づきはあなどれない。いち早く乗客の体調の変化に気付くのも私たち安全保安員としての大切な仕事だからだ。すると菅原チーフは走らせていた手を止め、キッチンテーブルに置かれていた機内食に視線を投げた。
「あ、そうだ村瀬さん。ちょっと急ぎでキャプテンと伊織さんに朝食をお持ちしてくれるかな」
「えっ、私が⁉」
「ダメかしら」
「お客様、お待たせして申し訳ありませんでした。お飲み物はいかがなさいますか」
「ワイン」
男性はぶっきらぼうにそう言って、私を手で追い払う仕草をする。
こういった横柄な態度を取られることは珍しくない。時には小間使いのごとく使ってくる方もいるくらいだ。
(お客様は困難な状況や心境で飛行機に乗っているかもしれない。笑顔笑顔)
男性から一歩下がって口角を上げる。
平常心を心がけお客様の様子を確認しながら再びギャレーへと戻った。
「菅原チーフ、Cクラスの十七列目窓側の男性ですが、酒豪です。要注意です」
「分かったわ、ありがとう」
私が伝えると、菅原チーフはきりりと眉尻を上げ、手に持っていたメモに書き加えていく。
こういった小さな気づきはあなどれない。いち早く乗客の体調の変化に気付くのも私たち安全保安員としての大切な仕事だからだ。すると菅原チーフは走らせていた手を止め、キッチンテーブルに置かれていた機内食に視線を投げた。
「あ、そうだ村瀬さん。ちょっと急ぎでキャプテンと伊織さんに朝食をお持ちしてくれるかな」
「えっ、私が⁉」
「ダメかしら」

