そうしているうちに放課後になっていた。



なかなか捕まらない白咲さん。……というより、なぜだかすごく避けられている。



今日は諦めようと、荷物を取りに教室に戻ると、ちょうど求めていた人がぶつかってきた。




みるみるうちに青ざめていく彼女が面白くて仕方なかった。




少しやりすぎた気もするけど仕方がない。





「じゃあ、白咲さん、僕と付き合って」




信じてないから、そう付け加えると私だってって顔をする。




俺の周りに、表情がこんなにコロコロ変わる人いないから面白い。




朝のことただの喧嘩だと思っていたみたいだしね。あんだけ血が流れてればただの喧嘩だとは普通は思わないだろ。




「別に付き合わなくても監視してれば良くない?」





「それじゃあ、周りからストーカー扱いされるじゃん」





「実際そうじゃん」






「ん?なんか言った?今すぐに君の家に組員送り込んでもいいんだよ?」




「ゴメンなさい。分かりました。付き合います。」



余程家族が大事なのか、カタゴトながらに了承した彼女。




「じゃ、よろしくね、白咲さん」



そう言って手を出すが彼女は気づいていないのか手を取らずそのまま、教室を出ていった。




この時は思ってもいなかった。





これが最初で最後の大恋愛に繋がることを。