好きよりも、キスをして



「なんかファミレスみたいな品ぞろえだな。まあいいや、両方食おうぜ。ほら、澤田も」

「(え、私も……?)」



この不思議な空間で、誰の家か分からない部屋で、誰の物か分からない食べ物を口にしている――


そんな非現実的な事が積み重なれば、自然と「これは夢だ」と思えるようになってきた。



「で、さっきに続きだけど。俺もさ…………澤田と一緒のよーなもんだ。数日前に、初めてここに来たんだ」

「……」

「澤田?」

「え、いや……。そ、そうなんだ」



静之くんが一瞬だけ――悲しそうな顔に見えた。でも、ほんとに一瞬。

今は元通りの顔で、目の前に広がるサンドウィッチを物色している。


やっぱり気のせいだったのかな……?


当の本人である静之くんは、構わず話を続ける。