好きよりも、キスをして



ブー



「澤田、スマホ。鳴ってるけど?」

「わ、本当だ!ありがとう、沼田くん。きっと緋色が学校に着いたんだと思う」

「え、でも今日から来ないって、」

「書類とか、色々書かないといけない事があるんだって。そのついでに、教室の荷物も持って帰るか―って言ってた」

「テキトーな奴だね、本当」



呆れた顔をした沼田くんに笑みを向け、席を立つ。緋色が座っていた窓際に行って、外を眺めた。


すると――



「(あ、緋色ー!)」



ちょうど、校門を入って来た緋色と目が合った。緋色は私の姿に気づいて、スマホを持った片手をパッと上げてくれる。

私は会えた事が嬉しくて、夢中で手をブンブンと振った。


だけど――ここで、ある考えがよぎる。