好きよりも、キスをして



『ありがとう、緋色。私、すごく嬉しい……。緋色の道しるべになれて、誇りに思うよ』

『(……語るな、はずい奴)』

『ひ、緋色が先に言ったんじゃん……!』





というわけで――緋色は、自分の夢に向かって。既に歩き始めた。

だけど、私はまだまだで。緋色みたいに立派な志があるわけじゃない。


「ならば」と。昨日、考えついたことがある。



「静之も、俺が澤田を惚れさせちゃっても文句は言わないでよね。本当、人騒がせなカップルなんだから!

澤田も、俺に惚れても、俺を恨まないでよね!」



ビシッと指をさされた私は、教科書ではない本を広げて、必死に手を動かしていた。