好きよりも、キスをして



感謝と尊敬と謝罪と――色んな感情が、沼田くんに向かって飛んで行く。ナイフじゃない。正真正銘の、私の気持ちだ。

だけど、沼田くんは決して受け取らない。

まるでゴミかのように、飛んでくる私の気持ちを手で払い落す。パッパッと。まるで埃をとるみたいに。


沼田くんらしい、照れ隠しだ。


そして、私に言葉を返す。でも、前のようなナイフじゃない。きちんと温度がある。私の事を思ってくれる言葉だ。

それらは私に優しく飛んできて、いつも心にぬくもりを与えてくれる。


沼田くんの存在に感謝をしながら、彼を見つめる。

すると沼田くんは、私の視線をもパッパッと手で振りほどきながら「それで」と続きを促した。



「学校を辞めて、その後はどうするの」

「通信制の高校に通うんだって。資格もとれる所にするって言ってた」

「資格?なんのさ」

「えっと、カラーコンシェルジュ。パーソナルカラースタイリストっていう言い方もするらしいよ」



スマホのメモに保存した文字を見ながら、沼田くんに説明する。知識の底が浅い私に対して、沼田くんは妙にあっさりと「あぁ」と頷いた。