「だ、だけど!緋色も緋色だよ!私がそんな誤解をしたのは、もとはと言えば緋色のせいだもん。
どうして枝垂坂さんの傍にいたの?緋色は枝垂坂さんを好きなんだって、ずっとそう思ってたよ……」
「(……悪い)」
緋色は、私の手をギュッと握った。恋人繋ぎだ。離さないように、離れないように。強く固く、握られている。
緋色は、繋がった私たちの手と、そして私の顔を見た。次に観念したように息を一つ吐いてから、スマホに文字を打ち始める。
「(枝垂坂から脅されていた。朱音を苦しめたいと、俺を横取りされた仕返しがしたいと。その仕返しに付き合ってくれるなら、学校で朱音をイジメることはしないと。
俺は、それに従っていただけだ。だから枝垂坂の事が好き、なんて事は絶対ない。ありえない。
向こうも、俺のことは道具にしか考えていない。人の前だけでぶりっこして、俺と相思相愛の演技をしているだけだ)」
「え……。なにそれ、最低じゃん!」
「(朱音を守れるならと思ったけど、反対に傷つけちまった。
朱音、悪かった。反省している。堂々と勝負をしなかった俺、カッコ悪いよな……)」
「緋色……」



