好きよりも、キスをして



一つの事が、私はずっと気になっていた。



「ねえ、緋色。私、聞いてもいいのかな?緋色がどうして私から離れていったのか」

「(もう聞いてんじゃねーか)」

「そうなんだけど」



困ったように笑う私に、緋色が「(俺も聞いて良い?)」とスマホの画面を見せた。頷くと、緋色が続きを打って、また、私に見せる。



「(なんで彼氏彼女を終わらせようと思ったのか。夢の中で会うのも最後にしたいと言ったのか)」

「それは……」

「(答えたくねーんだったら、別に無理にとは)」



と打っている緋色の指を、ガシッと握る。「!?」緋色の体が、ビクッと反応した。どうやら少し痛かったらしい。



「ご、ごめん緋色。でも、その……これから話す事は、もっと怒らせることかもしれないから……。先に謝っておく。ごめん」

「(うん……なんだよ)」

「緋色がさ、私を助けてくれないし、枝垂坂さんの肩ばかり持つから。緋色はてっきり、枝垂坂さんの事を好きだと思ったの。それで、私の事が邪魔になったかなって……勘違い、してた」

「(はあ?)」



スマホの文を見なくても分かる。緋色は今、私に心底、呆れている……。