好きよりも、キスをして



「え、あ……え?」



俺の顔と、繋がった二人の手。戸惑いながら、驚きながら。朱音は、それらを交互に見ていた。



「(もう、離さないからな)」



怒られたっていい。
また人前で!と怒鳴られたっていい。

殴られたって、押し返されたって。
もう、何をされてもいい。



「(朱音)」

「ひ、いろ……?」

「(ごめん)」

「んぅッ!?」



公衆の面前という事は百も承知だ。朱音の事が好きな沼田が隣にいるのも、痛いほど分かっている。


だけど、止められなかった。


俺には、朱音と離れていた三日間が、とてつもなく長く感じた。

そして、実際、長かったんだ。

俺は、お前が足りなくて。足りなくて。どうしようもなかった。



だから――気づいたら、朱音にキスをしていた。