好きよりも、キスをして



「(はぁ、はぁ、はぁ……っ)」



苦しい、息が出来ない。止まりたい、止まって楽になりたい。


だけど、脳裏に浮かぶのは、朱音の顔。俺が今ここで止まると、確かに俺は楽になる。だけど、朱音は?

また泣いちまうだろ?沼田から告白されて、申し訳なくて泣いちまうんだろ?

俺は分かる。お前が俺の口パクを分かってくれるように、俺もお前の心が分かるんだよ。



「(だから、待ってろ)」



朱音を笑顔にさせるため――ただそれだけのために、俺は足を動かした。


そして、ついに、二人の姿を見つける。

あと少しで校門を出てしまうという、そんな場所に、二人はいた。



「(あかね、朱音!)」