好きよりも、キスをして


「(このままでいいのか、なんて……よくねーよ。でも、どうしろってゆーんだよ)」



ズルズルと、壁に沿って座り込む俺。したいことは山ほどある。だけど、それはどれも叶わない。

俺は、自分から朱音を手放した。

それが最善だと、信じて。信じ切って――



「(これで良かったんだよな?朱音……)」



噛み締めるように、心の中で朱音に問いかける。心が冷静になるように、ゆっくりと目を瞑った。


すると意に反して、俺の心に流れてくるのは、朱音との思い出だった。


朱音から貰った言葉たちが、まるで全身に酸素を送るように、俺の中をゆっくりと回った。