「……なんで何も言わないわけ?俺に好き放題言われて、悔しくないの?」
「(言う事が……ないからだ。お前の言ってる事は正しい。けど、その正しさに忠実に動いていたら、きっと俺は後悔する。それだけだ)」
すると沼田は怒った声で「もういいよ!」と吐き捨てた。そして俺をドンと押して、踊り場から遠ざかっていく。
だけど途中で「抜け駆けみたいだから先に言っておくけど」と、尚も俺を睨んだまま振り返る。
「口がきけないからって、そうやって被害者ヅラしてたらいいよ。お前に澤田はもったいない。澤田は、俺が貰う。
本当に守りたいものを見失ってる静之に負ける気がしない。
今日もう一度、澤田に告白する。そして絶対、彼女になってもらうから」
「!?」
「そうしたら――俺が澤田の彼氏になったら、もう澤田のことを朱音って呼ばないで。虫唾が走る」
「……っ」
「ふん」



