好きよりも、キスをして



「意味わかんないよ」沼田が悔しそうに喋る。



「なに大人ぶってんだよ。なにヒーローみたいに気取ってんだよ。

お前まだ高校生でしょ、なんで無我夢中で走っちゃいけないの。なんでブレーキをかけないといけないの!?

自分だけ被害者ヅラすんな。一番辛いのは誰だと思ってるの。お前を一番に見てくれてた澤田でしょ!?」

「!!」

「お前だけで自己完結するなよ、静之。お前はまだ終われないよ、終わっちゃいけない。

だって澤田がそれを望んでいないんだから。

好きな女のためなら、ずっと走れよ。何があっても守り抜くって、ちゃんと伝えろ!嫌でも自信を持て。

お前、あんな胡散臭い女に媚びを売らないと生きていけないほど、弱い人間なの?違うでしょ。


さっき、澤田に生き方を変えてもらったって言ってたでしょ?澤田がお前にもたらした変化って、こんなもの?

澤田の影響力って、そんなものなの?違うでしょ、静之。お前が一番、よく分かってるでしょ?」

「……っ」