錯覚でしかないとはわかっているのに、無性に喪失感に駆られた。

愛は俺に気をつかっているとはわかっているけど……俺は別に、つないだままでいいのに。

……ん?

「お前……手震えてないか?」

「え?そ、そんなことないよ!」

まさか……。

「高所恐怖症?」

「う、ううん! 恐怖症って程じゃないの!!」

勢いよく否定したけど、相変わらずバカ正直すぎる。

「程じゃないってことは、怖いのは怖いわけ?」

「あ……す、少しだけ……」

自分でも失言に気づいたのか、気まずそうに笑った愛。

「なんで乗るって言ったんだよ」