ショーの人混みで女子の近くにいて気分が悪くなった俺を気遣って、愛がおばけ屋敷に駆け込んでくれた。

どうやら、自分がおばけが苦手だってことも忘れていたらしい。そんなことも忘れるくらい他人の心配をするなんて、相変わらず絵に書いたようなお人好し。

ただ……愛のそういうところに、救われているのも事実だった。

こいつの善意には、欲がない。

誰だって他人に親切をする時は、見返りを求めると思うけど、愛は違う。きっと見返りとか損得とか、そんな考えすら思い浮かばないようなやつ。

こんな人間が、この世にいるのが奇跡なんじゃないかとすら感じるくらい。

愛のそういうところが……たまに俺を変にさせる。