「ただ、運命の人に出会いたくて……デステニー制度のことを知って、この高校を選びました」

てっきり、こいつも金目当てで入ってきたと思ってたけど……勘違いだったのか。

「私のお父さんとお母さん、すっごく仲良しなんです。私もふたりみたいに、運命の人と出会って結婚したいってずっと夢見てて……」

そう語る水月の表情は優しくて、両親のことを尊敬していることが伝わってきた。

「……って、夢見過ぎですよね」

恥ずかしそうに笑う水月に、感じたことのない感情に襲われる。


なんだ、これ……。

今こいつが、無性に……。

「……別にいいだろ、夢見ても」

自分の感情の名前がわからなくて、もどかしい気持ちになる。

次期社長の座とか関係なく、純粋な夢を持ってきたやつだっているのか。

「汐くんは優しいですね」