幼い頃から顔だけで評価されてきて、女絡みのいろんなトラブルに巻き込まれてきた。次第に女が苦手になって、今では近づきすぎると手が震えるようになった。

嫌い以上に、女っていう存在が怖い。

でも……。

こいつは他の女とは、少し違う気がする……。

ふたりで並んで座っていても、震えが起きることはない。それに、嫌悪感もなかった。

こいつから、少しも悪意や私欲を感じないからかもしれない……。

ちらりと隣を見ると、体育館の外を見ながらぼうっとしている水月。

その横顔は綺麗で、初めてちゃんと顔を見た気がした。

多分、相当綺麗な部類に入ると思う。こいつなら、新しいパートナーもすぐに見つかるんじゃないか。

『またね愛ちゃん』

さっき俺の席に座って、楽しそうに水月と話していた男のことを思いだした。
あの光景を見て、なぜか無性に苛立った。