「……邪魔」

そ、そんな、ストレートに……!

「この人、愛ちゃんのペアの人?」

「うん……!ごめんね……!」

「どうして愛ちゃんが謝るの。俺の方こそ勝手に席に座ってごめんね」

汐くんに睨まれても笑顔を崩さない……さりげなく謝る気配りまで……奏多くん、スマートだ。

「愛ちゃん……?」

ぼそっと、汐くんが何か言った気がした。

「……早くどけよ」

う、汐くん……そんな言い方しなくても……!

「わかったよ。またね愛ちゃん」

奏多くんは気を悪くした様子もなく、笑顔を残して自分の席に移動した。

本当にあんな王子様みたいな人、存在するんだなぁ……。