私だけを濡らす雨/ハードバージョン

回想②



私、ケンの”感覚”がめちゃ、お気に入りになっちゃって…

認めるところは認めてさ

それでいて自分を失わなかった

坊主頭で堂々と今まで通り突っ張ってね

この後もさ、ナミたちにも別に屈っしたところは全くなかったし

だから、ナルオのグループともいい関係は続いてね

この一件で、ナルオもナミもケンに一目置くようになったのが、傍からもわかったよ


***


それで…

私は思案の末、調停に際する条件を示したのよね~

彼はちょっと、いや、偉く驚いていたわん❣

まあ、無理ないわよー(笑)


***


「はっ❓なんか、すげえ条件だな、それ…」

さすがにケンは即答を避けたよ

「私さ、あの狂った女と二人きりで住んでて、精神的におかしくなってるのよ。学校でもみんなとワイワイやってたって、いつも自分だけ別の場所なんだ」

「…」

「その場では笑ってて晴れやかでも、心の中は冷たい雨が土砂降りでいつも震えてる。家のことも気を抜くと、あの鬼のような女のチェックが入るし。気が休まらないんだ」

ケンは私の目から視線をずらさず、黙って聞いてた

「…でさあ、しばらく学校休むつもりだよ、私。いろいろ考える、その間に…」

「オレは逆だと思うがな。そんなイカレた姉ちゃんのいる家にずっといたらよう、ますます気がヘンになるだろうが」

こん時のケン…、真剣に心配してくれてる様子だったわね

まあ、この時点では私もあなたと同じ、親なし、兄弟(姉妹)と二人で生きてるって共通項があったからね

”こいつはオレと同じ境遇なんだ…。ましてやたった一人の家族である姉がイカレた恐ろしい凶暴オンナだなんて…、なんてかわいそうなんだ…”

うふふ…、いくらドライなケンでも、このくらいのキモチは湧いてきたでしょ

ってことで、ケンは私の持ち掛けには真剣に向き合ってくれたの