猟奇マックスの女



桜木にとっての焦点は、わりとはっきりしていた

このとんでもない訴訟相手が、果たして意識的に自分をターゲットとしていたかどうか…

主にこの一点だったのだ


***


”あの猟奇的なイカレた女に、何か狙いがあって俺を選んだんなら、単に裁判の決着では終わらないぞ!”

”その為には妹と接触して、探りを入れるんだ…”

”なにしろ、弟のケンは郡ツグミの体を汚したんだ”

”そのこと、ツグミからイカレた姉が聞かされていたとしたら…”

”ハハハ…、そんなの分かりきってるよな…”

”辻合さんに話したって、法に則ってって、スルーされちゃうだろう”

”ここは俺がツグミと会って、可能な限り聞きだすんだ、姉のことを…”

”すでに死んでいる両親のこと、ケンとのこととかを…”

”それからだ、猟奇マックスの女とどう向き合うかは…”

”せめて、妹はマトモでありますように…”


***


桜木の心理状況は既に公判前から切迫していた

もっとも、ダメもとで弁護人の辻合に掛け合ったところ、わかったくれ。、イカレ女の妹ヘは最初に辻合が接触してくれることになったのだ

そして一週間後、辻合の橋渡しを経て、郡ツグミと会うことになった…