「っ、でも親しいわけでもなんでもないよ! 今日限りの仲なの」

「おれが言い訳を聞きたいとでも思ってんの?」



……うう、だめだ。
もうなにを言ってもだめ。


ぜんぶ、判断を間違えたわたしが悪い。


雪くんは天沢家の息子として、周りと区別されて育てられてきた。

親しくする人も制限されて、嫌なことも嫌と言えずに我慢して……。


いつだって孤独だったから、“自分のもの”を、一つでも失うことを、極端におそれてる。


わかってたはずなのに……不安に、させちゃった。



「ほんとに……ごめんね」


ぽつりと零したのと、腕を強く引かれたのはほぼ同時。



「っ、雪くんいたい、」

「謝る気があるなら来い。ちゃんと、おれにわからせろ」

「え……?」