「あ、あの……送ってくれてありがとう、ここまでで大丈夫だよ」
「いやいや、オレもこっちなんだって。門の前まで一緒に行くよ」
「でも! ええと、」
早く立ち去ったほうがいいよ。
危ないから……あなたの身が。
雪くんは他人の前では仮面を外さない。
だけど例外もある。
わたしと出会った日みたいに、高熱のせいで理性が崩れかけてしまったときとか。
雪くんの正気を揺るがす、“なにか”が起こってしまったときとか。
「あれ、あそこに立ってるのって……もしかして雪くん!?」
わたしの視線を辿った相手が、ようやく雪くんの存在に気づいた。
気づいて……しまった!
「うわーっナイスタイミング! オレ雪くんにいつか挨拶したいと思ってたんだよね!」