こんな母親を見てきたせいか、地に脚がついてないようなフワフワしたお嬢様タイプがすげー嫌いになった。


自分が人から好かれることを当たり前だと思ってる金持ち女。

望めばなんでも手に入ると思ってるめでたい頭の女。

イメージするだけで悪寒がする。

ていうか女はほぼ全員むり。


けど……まあいっか。

見合いはテキトウに流して、相手の女のことを悪いようにでっちあげれば破談になるだろ。



「用はそれだけ? じゃあ僕、もう行くね〜」

「いいえ、待ちなさい雪」


呼び止めの声。


「あの子……加藤杏実とかいう一般の子とは、一体いつ縁を切るのかしら?」


声色ががらりと変わって、攻めるような声。

聞こえない程度に舌打ちをした。