学校側の意図が読めない。

天沢がそうさせたとも思えない。

わざわざ、最愛の彼女を俺の近くに置くはずがない……。



───加藤 杏実。



「心配になるくらい無防備だったな、」

「……え?」


「いや、こっちのハナシ。気が済んだなら下がってくれる?」

「はい、失礼いたしました。それでは」



扉が閉まる音を合図に目を閉じれば、今朝の出来事が脳裏をよぎった。