本領くんの両手を掴んだまま、ぎゅっと力を込めた。これ以上動けないように。


ぐぐ、ぐぐぐ……とお互いの力を沈め合う攻防。

なんか、すごい力強い握手を交わしてるようにも見えてきて、場にそぐわずちょっと笑いそうになったり。


男の子だから解こうと思えば解けたはずだけど、結局、大人しく拘束されたままでいてくれた。




「なんか……馬鹿力のおかげで正気に戻ったかも、ありがと」



本領くんの熱がすっと離れていく。



「っえ、そんな馬鹿力なんて……」

「かとーあみちゃんは天沢の彼女、だもんね。……ほんと憎たらしい……」


笑顔のまま、最後にぼそっと付け加えられた言葉をわたしは聞き逃さなかった。

ちょっと、グサってきたけどなんにも言えない。