「──はーい、もしもし〜?……ああ、うんっ、いまホームルーム終わったとこ〜!」



2トーンあがった声。
ボリュームもさっきの10倍くらいある。


太陽みたいなみんなの、雪くん、になった。

切り替え、いつ見てもすごいな……。



「えーっ、急用……? ……そっかあ、うん、わかった〜。今からいくね〜」



眩しいくらいのにこにこスマイル、電話相手には見えていないだろうに。

色々とプロだなあって、思う。



「うん! そっちも気をつけて〜。それじゃあね!」



トン、と。

その指がもう一度画面に触れれば



「……て、ことだから。今日は学校休むわ」


わたしの、よく知った雪くん。



「用事終わったら電話する。2コール以内に出ろよ」



ええっ、しれっと1コール減ってる……!


……なんて突っ込む勇気は、あたり前になかった。