目隠しをしていても、まっすぐに走ってた車がよろよろと、道路脇に転げていくのがわかる。


えっ、なに、事故………っ?


───ガン! がァン!

と、また鋭い衝撃。



なんか……車、ぼこぼこにされてない……っ!?

何が起きてるの、大丈夫なのかな!?



自分が誘拐されてるのも忘れて、びくびく、体を震わせていたら。



「加藤杏実が乗ってのはわかってんだよ! 早く出せ!!」


聞き覚えある声の、聞いたこともない怒号……。



「あみちゃん、体大丈夫!? 何もされてない…!?」


これまた聞き覚えのある声の、聞いたこともない焦った声……。



幻聴………?

困惑した直後、目隠しがするりと解かれて……──────現れたのは

────── 共にいるはずのないふたり。