「っ、わかった! 教えるっ、教えるから待ってくれ……!」


情けないほどに震えた相手の声から、──────痛めつけている人の殺気がどれだけすごいか、嫌でも想像できてしまう。


ゴッ……とすさかず鈍い音がした。


暗がりに慣れてきた目が、その有様を捉える。


ごく、と思わず息を呑んだ。



か、壁に人の頭がのめり込んでる……!

こんなの漫画でしか見たことないよ!!!


そして、その頭を押さえ付けている人物を見て

──今度は息が止まった。



「……ほ、ほんりょー……くん?」


さっきの声……聞き間違えじゃ、なかった……。


はっとしたように顔を上げた本領くんと、一直線に視線がぶつかった。

その瞬間、景色が止まって見えたのは……気のせいなんかじゃない。