冷え切った瞳はナイフより鋭い。
……やっぱり、雪くんはすごいと思う。
雪くんはみんなのものだけど、
雪くんの好きなものは、雪くんだけのものじゃないと許されない世界が確立されている。
雪くんが築き上げてきた、雪くんだけのお城。
お城の住人は誰も王様に逆らえないし、城壁はきっとエベレストみたいに高くて、外部からの侵入者は門にすら辿り着くことができないんだ。
「杏実。今度こそ、わかったな」
「……う、ん」
王様になる人って、生まれながらに王様なんだと思う。
そういう特別な素質を持って生まれてくるんだと思う。
今朝、本領くんを間近で見たときも同じことを感じた。
品のいい言葉づかいとか、立ち振る舞いとか、服の着こなし方とか。
訓練すればある程度の貴族っぽさは誰でも身につけられるけど、この、目の前に立つだけで気圧されて体が勝手に跪いちゃうくらいの凄まじいオーラ。
努力でどうにかなる範疇を、完全に超えてる……!
「杏実はおれのだって」
「うん」
「……わからせろよ」
「……うん」



