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「中城くん! 中城くん……!」


いつまでたっても教室に現れない雪くんに痺れをきらして、隣のクラスに駆け込んだ。



「中城くん! あのね、昨日は叩いちゃってほんとにごめんね……。それで、雪くん今どこいるか知ってる?」

「気にしていませんよ。雪様の居場所は知りません」


「知らないわけないじゃん、雪くんの側近じゃん」

「知っていたとしても加藤様にお伝えすることはできません」


「なんでもするから教えて!」

「加藤様……。異性相手に、なんでもする、などと軽々しく言わない方がよろしいですよ」



うう、意地でも言わないつもりか……。

相変わらずガードが堅いなあ……と諦めたその時。



「そうですね。それでは今度、ご一緒にお茶でもいかがでしょう」

「……え」

「約束してくださるなら、お教えしても構いませんよ」


にこ、と珍しく微笑んだ中城くん。スーパーレア。

うなずかない選択肢はなかった。


「ぜひ一緒にお茶する! ありがとうっ」