見知らぬ女の子に対しても、そこそこ仲がいい友達に対しても、おんなじにこにこスマイルで神対応。
雪くんの話し方は、ちょっとだけのんびりで、語尾を伸ばす癖があって
「親しみやすよね」ってみんなが言ってる。
お金持ちなのに気取らない。
権力を振りかざさない。
ほがらかで明るい、太陽みたいな人。
だから周りは、そんな雪くんが統べているSolを「善良」だと勝手に解釈するんだ。
───本当は、喋り方の“癖”すら
計算し尽くされたツクリモノだとも知らずに……!
「……ったく、朝からごちゃごちゃうるせぇ」
連れてこられた空き教室。
扉がぴたりと閉まったと同時、ホンモノの雪くんが姿を現す。
「て、いうかさ。杏実おれに何か言うことあるだろ」
さっきより2トーンさがった声が、ふたりきりの空間に冷たく響いた。



