「敷島くん……って、今扉のところで会った人だよね? 教室でもよく本領くんと一緒にいる……」

「そう、その“敷島くん”。お菓子作るのが趣味なの、あいつ」

「えっ! 食べたい……っ」



思わず飛びついてしまう。

ちょっと驚いたように目を丸くした本領くんを見て、はっと思い直した。



「ごっ、ごめんなさい、部外者なのに図々しいこと言いました……」

「んーん。違う違う、嬉しかっただけ」


「嬉しい……?」

「これは俺の勝手なアレだけど、敷島の趣味を知った人は大抵、まず最初に“意外だね”って言うんだよね。率直に 食べたい! が第一声の子は初めて」



くすくす笑われて、顔が急激に熱くなった。



「っえ、あ、わたし甘いの好きでつい……あと、お腹空いてたからっていうのもあるかも……」

「ははっ。ほーんと、素直で可愛いね」